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【パワプロ】パワプロ2020新球種『シンキングツーシーム』についての考察

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こんにちは。

 

以前当ブログ内で、パワプロ2020のバーチャル開幕戦でお披露目された新球種『パワーカーブ』の考察をさせていただきました。


www.clt-ins0106.com

 

今回はもう1つの新球種『シンキングツーシームについて解説と考察をしていきます!

 

 

 

■はじめに(注意点)

※当記事内では(いわゆる)ツーシームについて以下の3つが出てきます。

①一般論・球種としてのツーシーム全般
②速球から微妙にシュート・シンカー方向に変化する球。パワプロ2020でいうツーシームファスト
③今作で登場するシンキングツーシーム

この記事の中では、①の「球種としてのツーシーム」についてはツーシーム大鍵括弧付きで表記させていただきます。

 

※文中の球種データは『1.02 Essence Of Baseball』様より引用しております。また、事前に引用の承諾を得ております。

 

※この情報は2020/5/8現在のものです。

 

■バーチャル開幕戦でのシンキングツーシーム

まずは実際の変化を見ていきましょう。初お目見えになったのはバーチャル開幕戦の第2戦、西武対日本ハム戦。西武の先発ニール投手が変化量4の”シンキングツーシーム”を投げています。(1:35:15ころ~)

 

www.youtube.com

 

バーチャル開幕戦を見る限りでは

  • 利き手方向に10~15度ほど横変化が付きながら落ちる球
  • 球の回転はシュート方向
  • 4シームとの球速差は7~10km/h

の変化球と特徴付けることができます。 

明らかに今までにない方向・球速帯のボールであるため打者目線からは非常に打ちづらい球になることが予想されます。

 

一方で、この球種は今までわたしたちプロ野球ファンが『ツーシーム』に抱いていたイメージとは違う球種になっています。

従来の『ツーシーム』は「シュート方向・あるいはシンカー方向への変化」「直球に近い変化」というイメージがあったはず。

 

ここから先は、実際にパワプロ2020でシンキングツーシームが付いたザック・ニール投手の『ツーシーム』を見ていきつつ、シンキングツーシームについてさらに考えていきましょう!

 

 

■ニール投手の『ツーシーム』から考えるシンキングツーシーム

①変化量・変化方向

ニール投手の『ツーシーム』を動画で見てみると、あることに気づくと思います。

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それは、ニール投手の『ツーシーム』は確かに垂直方向への変化もある一方で、水平方向への変化(シュート変化)も大きい球種であるということ。

パワプロでのシンキングツーシームのような「垂直方向への変化が強いシュート回転の球」というものもありますが、どちらかと言うと従来のシンカーや逆方向スラーブのような変化の方が多いように見受けられます。

 

次にスタッツの面からニール投手の『ツーシーム』を見てみます。

 

②スタッツ面

では、実際にニール投手はどのように『ツーシーム』を活用していたのでしょうか。データ面から見てみます。

[投球割合]   対右  対左  三振率*1

ツーシーム   48.4% 47.1% 29.4%
チェンジUP   31.1%   23.7%  43.1%
カットボール    6.7%    9.6%   9.8%
スライダー     3.3%    11.3%   7.8%
ストレート     6.1%     5.6%   7.8%
カーブ         4.5%  2.7%     2.0%

(日本スポーツ企画出版社『2020プロ野球 写真&データ選手名鑑』より引用)

ニール投手は投球のほぼ半分近くを『ツーシーム』が占めている投手です。

彼は2019年シーズン、60.2%というゴロアウト率を記録しています。これは2019年に50イニング以上投げた投手の中で6位という好成績です。この成績と、ゴロアウトと相性のいい『ツーシーム』を多投するのは大きな影響があると考えられます。

同時に彼にとって『ツーシーム』は、三振を取る球としても一定以上の働きをしている球種といえます。全奪三振の約30%は『ツーシーム』で奪った三振です。

 

このように、ツーシーム』をメイン球種として活躍する投手が現在のNPBには確かに存在しているのです。

 

 

■そもそも『ツーシーム』とは?

①似た変化球(シュート・シンカー)との棲み分け

ここからは1度『ツーシーム』という球種そのものについて触れていきます。

 

MLB

……いきなり身も蓋もない話なのですが、現在のメジャーリーグでは、シュート・『ツーシーム』含めた利き手側に曲がる球種はすべて""シンカー""として扱われています

メジャーリーグで導入されている『PITCHf/x』というシステム上でも"”Sinker"”という球種はあっても、""Shootball""や""Two seam fastball""という球種は表示されていません。

シュート方向の変化量が存在した場合はシンカーとして統一されている認識で間違いないと思います。

 

NPB

逆に日本球界においては、「『ツーシーム』は直球の仲間。動く直球」という認識から、シュート・シンカーと比較的明確に線引きがされていた印象です。

明確な定義はされていないものの、

ツーシーム直球に近い変化をする球種。ムービングの一種

《シュート・シンカー》利き手方向に比較的大きめの変化をする球種

という認識の方も多いのではないでしょうか。

 

このような立場からは、ツーシーム』とシュート・シンカーは別球種という考え方になるはずです。

 

②現NPBの使い手について

現在のNPBで『ツーシーム』の使い手とされる投手については、大きく分けて4種類に分けられます。

(1)投球の半数近くを『ツーシーム』が占め、決め球としても使っている投手(例:ニール投手・青柳晃洋投手)
(2)投球の多くを占めているが決め球ではない投手(例:アルバース投手)
(3)投球割合ではそれほど多くないものの効果的に使っている投手(例:菅野智之投手・大野雄大投手)
(4)亜大ツーシーマー(例:山崎康晃投手・薮田和樹投手)

このうち、(3)については従来通りのツーシームファストでも問題ないでしょう。(2)についても、他に有力な球種があれば他の変化量で補完することも可能です。

問題は(1)と(4)。

(1)のパターンでは、武器のツーシームをメイン球種にできず、他のシュート・シンカー方向の球種によって「威力を補完」する必要がありました。*2

(4)はそもそも変化のしかたが違う。大きく落ちる『ツーシーム』は再現不可能でした。

 

 

■これまでの『ツーシーム』投手のパワプロ査定

次に、今までのパワプロでの査定を見てみます。

 

今回参照するのはザック・ニール投手、青柳晃洋投手、大貫晋一投手*3山崎康晃投手、中村稔弥投手*4です。

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このように、『ツーシーム』が武器の投手でもそれぞれ球種にバラつきが出ていることがわかります。また、同じ亜大ツーシーム投手でも補完変化球に違いが出ていることも見えてきます。

 

推測ですが、今までのパワプロ査定では直球の第二変化球しかなかった分、大きくシュート方向に変化する 『ツーシーム』や決め球としての『ツーシーム』については実際の変化方向を個別に見て、近い球種を当てていたものと思われます。

そのためツーシーム投手でもバラつきが出ていたのではないかと。

 

 

■なぜ「シンキングツーシーム」なのか?

ここまで『ツーシーム』と査定について語ってきました。

ここからは「なぜ””シンキング””ツーシームなのか」、「なぜ垂直方向への変化成分が強いのにシュート方向の変化球扱いなのか」の考察をしていきます。

 

①かつてのシンキング系変化球との呼称の問題

かつてパワメジャシリーズ・パワポケシリーズにはシンキングファストという球種がありました。

特徴としては

  • 平均球速が直球と比べて-7~10km/hと速い球種
  • シュート方向の変化球扱い
  • Hシンカーのような軌道で落ちる球

というものでした。

しかし、実は海外では""Sinking fastball""という呼称そのものがシンカーのことを指すためにパワプロ2020においては別の名称で登録が必要になった、というのが1つめの推測です。

同時にシンキングファストとして導入した場合、「シュートvsシンカーvsツーシームvsシンキングファスト」とさらに複雑な議論が起きる可能性も否定できません。そのため”ツーシーム”を付けることで争いを避けた線も考えられます。

 

②従来の利き手側変化球との差別化

文字通りの意味です。

「日本ではシュート・シンカーと『ツーシーム』は別枠として語られる傾向がある」ことは上で述べました。その中で”決め球としての『ツーシーム』”を改めて作るためには変化方向もシュート・シンカーと差別化する必要があった、というのがここでの推測です。

また、単に『ツーシーム』といっても水平成分が多めのものから垂直成分が多めのものまであるので、より多様な『ツーシーム』に対応させるためという目的もあるでしょう。

 

③ステータス画面での見た目

ツーシーム』は変化方向の差分こそされ、シュートorシンカー的な変化をするのはみなさんご存知のはずです。内角をえぐったり芯を外してゴロを打たせる意味でもシュートに近い役割を果たしています。

一方、パワプロで下方向に変化球表示があったらみなさんはどう思うでしょうか?

おそらくフォーク・チェンジアップ系の球種だと感じるはずです。

「球種としての役割が違うこと」「旧来のシュート的イメージを保持させること」の2点からシンキングファストはシュート方向の球種として登録されているのではないかと考えています。

 

おそらく山崎康晃投手の亜大ツーシームがシンキングツーシームにならないのはこういった理由だと考えています。

彼の球は明確に空振りを取るための球種なため、シュート方向に位置していると「左右の揺さぶりで勝負する抑え」に”見えてしまう”可能性があるからです。

 

 

 

■最後に

いかがでしたか?

ここまでの話をまとめると

ツーシームをメイン球種とする投手のために、第2ストレート以外でツーシーム枠の変化球を作る必要があった

○日本は変化球の分別が比較的多めなため、シュート・シンカーへの統合よりは新たに「ツーシームとして」球種を作ろうとした

○従来のシュート・シンカーとの差別化として、縦成分の多いシュート系のボールを作った

という感じになります。

 

とは言ってもまだパワプロ2020は発売前。

これからのアップデート含め、どんな選手に付いていくのか楽しみにしたいところですね!

 

 

ご覧いただきありがとうございました!

*1:当該球種を決め球として三振を取った率

*2:今までのパワプロでは、ある投手の『ツーシーム』がどれほど強力でも表現する手段が難しくなっていた。後述

*3:マチュア時代からツーシーム使いとして知られる

*4:亜大ツーシームの使い手